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2010年12月09日

【コーヒー屋の話を聞く 小川清(平岡珈琲店)×中川ワニ(中川ワニ珈琲)@チッポグラフィア】vol.5「一期一会の味に巡り合うために」

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10月30日に豊中のチッポグラフィアで開催された東西二大珈琲人のトークショー、『コーヒー屋の話を聞く 小川清(平岡珈琲店)×中川ワニ(中川ワニ珈琲)@チッポグラフィア』。珈琲の話からはじまり、食の業界に関することや、お店作りに関すること、そしてお店を選ぶ私たちが心がけたいことなど、「金の名言」が飛び交う素晴らしいトークが繰り広げられました。

Musicafeではこのトークから、これは!の名場面を、毎週木曜日にシリーズで連載していきます。
最終回となるvol.5は「一期一会の味に巡り合うために」です。
あまりにものロングバージョンにつき、途中で録音が終了。あとはメモを頼りにクライマックスまで突っ走っていきます(笑)最後までお付き合い下さいね♪

※写真はイベントのもう一つのお楽しみ、イベント後半に中川ワニさんが珈琲を淹れて下さっている場面より。奥にいらっしゃるのはチッポグラフィア店主の山崎さんです。



■出会ったものを一期一会的に、今年のこの瞬間しか飲めないと捉えていった方がいい。

中川ワニさん(中川ワニ珈琲)<以下、W>:
いつまでもその味を百貨店のように維持したり、表面上維持するのではなくて、出会ったものを一期一会的に、今年のこの瞬間しか飲めないと捉えていった方がいいと思うんです。今までずっと日本の戦後の商売って、同じものでずっとありますよと。同じものでなんてありえないのに同じものでしようとするから、みんな嘘をつくんですよ。いつでも均一に誰でも手に入るものを求めていくのではなくて、そのとき巡り逢えたら幸せぐらいの気持ち。話題になったら何でもほしいのではなくて、巡り逢えたら幸せぐらいに見ていかないと、どんどん嘘物をつかまされることになると、僕は思うんですよ。

■珈琲屋の良心とは。

小川清さん(平岡珈琲店)<以下、O>:
今までブレンドコーヒーが珈琲だったんです。最近になって若い人たちがやっとワインと同じように、同じ銘柄や産地でも味が違うと受け入れてもらえるようになったんです。そういう人たちに対してずっと同じ味は逆に失礼だと思うんです。「90年間同じ味ですね。」と聞かれますが、そんなはずはないです。農産物ですから毎年違うんです。ただ今まではできるだけこの範囲内に収縮させて味の幅を持たせていくように、ブレンドを調整するんですが、最近は抵抗をちょっと感じます。自分が美味しいと思った豆を仕入れて、その豆にふさわしい焙煎をかけて、これだけしかないけど美味しいから早い者勝ち。その代りネット通販は量的にできない。そういう風にしていった方がぼくは良心がとがめない気がします。

W;ぼくはそこがちょっと違うかもしれません。産地を活かすのももちろん魅力的なんですが、ぼくは店舗がないので、どうしても買ってもらうお客様に、どの珈琲を持ってきてもワニ珈琲だというその味をのっけていかなくては。一人でやっている仕事ですし、そこに満足感を持ってもらえないといけないんです。どんな味が自分にとってヒットした味に思うのかをもうちょっと明確にしたいです。

O:それはそうです。どの豆が美味しいのかは私の判断なので、選ばれる方は焙煎氏と自分のセンスが合わないと無理でしょうね。焙煎士はかなりクセのある人間がやっているので、合う合わないは絶対あります。

■今はお客さんとのシェア感覚が大事。

W:それは、しょうがないですよね。結局は一番最初に考えたことは、自分で作る以上、自分で飲みたい珈琲を作りたい、そこなんですよね。今はお客さんとのシェア感覚が大事だと思っていて、それがだんだん薄れてきている気がするんです。お金になるから、自分が口にしないけど売るみたいな。だから自分はすごくオーソドックスなことを考えているつもりなんですけど。普通のことを考えれば考えるほど、「変わり者だな」と言われるんですよ。

田中慶一さん(『甘苦一滴』)<以下、T>:
豆の良さはこうでないといけないというのが強いですね。ほうぼう見て回るんですが、同じ味がどこでもあるんですよね。

W:最終的には人間力そのものに帰っていくんじゃないかと思って。だって技術や何かはあるところまでいってしまえば、それが本当の目的じゃないから、それを使っていったい何をやるのか。

T:豆や産地で分けるのではなくて、焙煎士はこの人で選ぶという店が出てきているので、多分もう気付き始めている人がいらっしゃると思います。

W:気付いた方がいいと思います。結局色んなところの産地を使っているのに、チェーン展開化してきている。昔は露骨にフランチャイズでチェーン展開していたんだけれど、今は個人という名のもとにたまたま通ったところのものを考えもせずに受け取ったはいいけれど、割と似たような珈琲の味しかしなくて、淹れ方も同じで、それって寂しいことなんですよ。

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珈琲に関する風景にワクワクしていたいという中川ワニさんは、「自分がそこに行って、ちゃんとお店の人とやりとりをしてお店を支えていくことが大事。センチメンタリズムだけではいい店も消えていってしまう。」と必ず行くことを力説されていました。
また、「自分の舌で選んだものを(お店)を言えないのは恥ずかしい。」と、旅人ワニさんならではのコメントも随所に。

一方、三代目を演じていたという平岡珈琲小川さんは、伝統を継いでいくプレッシャーとこれから作っていく歓びのはざまで揺れる時代が続いていたそうです。教科書が通用しない時代にどれだけ自分を信じて努力できるかがカギだとおっしゃっています。若手の育成に関しては「失敗させる場所を用意していない。」と育成の難しさにも言及されていました。

そんな珈琲業界もこの2,3年で変革期を迎えているそうです。
自分たちがどんなものに囲まれてきたのか、そんないのちのリレーを大事にしながら、自分の感性で必要なものをミックスさせる、そんな自由さと変化をポジティブに受け入れる姿勢がこれからの消費者として心掛けたいコツなのかもしれませんね。


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長きに渡る連載を読んでいただいた読者の皆様、どうもありがとうございました。

また、連載するにあたってご快諾いただいた平岡珈琲小川さん、中川ワニ珈琲中川さん、甘苦一滴田中さん、チッポグラフィア山崎さん、本当にありがとうございました。
Musicafe始まって以来初の2カ月に渡る長期連載となりましたが、それぐらい濃い内容でかつ、絶対読んでいただきたいという想いから編集しています。その道の達人の話は、その分野だけの話にはとどまらず、本質が潜んでいます。少しでも参考になることがあれば幸いです。

尚、平岡珈琲さん、チッポグラフィアさんの店舗紹介も年内アップ予定です。
お楽しみに♪


posted by MusiCafe♪ at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 【Musicafe♪】スペシャルトーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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